ディアベルの心臓部には、驚愕のパワーで世界を震撼させたドゥカティ・コルセのレースエンジン直系となる、ドゥカティ・テスタストレッタ11°が搭載されている。ドゥカティ・テスタストレッタ11°は、スーパーバイク・エンジンの怒涛のパワーとスムーズで柔軟な特性を併せ持ち、ハイパフォーマンスとライディングプレジャーを高次元でバランスさせ、新世代への大きなステップとなるエンジンである。
このエンジンは、必要とあらば「ワイルド」なパワーを引き出せる一方で、疲労を感じさせない快適な走りを実現するスムーズさと快適性も兼ね備えている。ドゥカティは、バルブオーバーラップ角に着目してカムタイミングを変更している。オーバーラップ角とは、インテークおよびエグゾーストバルブが同時に開いている時間をクランクシャフト回転角で表したものであり、単位には度(°)が使われる。バルブオーバーラップは、排気行程の終わりと吸気行程の始まりに発生する。ハイパフォーマンスエンジンの場合、バルブオーバーラップを大きく取り、シリンダーに発生する圧力波を有効利用して容積効率を高め、パフォーマンスを引き上げる手法が採られるが、極限までパワーを追求するとスムーズなパワーデリバリーを犠牲にすることになる。
テスタストレッタ11°エンジンでは、バルブオーバーラップをスーパーバイク1198に搭載されていたテスタストレッタエボルツィオーネエンジンの41°から僅か11°まで小さくしている。この結果、インテークバルブから導入される混合気が排ガスフローの影響を受けにくくなり、スムーズな燃焼が実現した。さらに、燃費も改善され、クリーンな排出ガスを実現できたのである。細部に至るまで徹底的にパフォーマンスが追求されたこのモデルは、デスモドロミック・カムタイミングをハンドワークで精密調整されており、それを証明するものとして、エンジン担当メカニックの名前がエンジンケース左側に刻まれている。